交通事故発生から解決までの流れ
保険会社からの示談案提示後・症状固定後など、様々なタイミングでご相談をいただきますが、当事務所ではどのタイミングでご相談頂いても、それに応じた適切なアドバイスを徹底しています。
もっとも、なるべく早いタイミングで弁護士に相談していただくことが一番の理想です(弁護士が現役の整形外科医である特徴を活かすためにも、早いタイミングでのご相談をおすすめしまています)。
どのタイミングでご依頼頂いても弁護士報酬は変わりません。早ければ早いほど弁護士から受けられるサポートの幅が広くなりますので、できる限り早くご相談いただくことをお勧めします。
※ただし、事件が示談交渉または裁判外紛争解決手続(ADR)で解決せず、民事訴訟の提起を行う場合には、事案により訴訟提起のための着手金として金20万円(税込22万円)を請求させて頂くことがございます。
1.交通事故発生から解決までの流れ
交通事故の発生
交通事故が発生し、負傷者がいる場合は、119番通報をし、可能な範囲で応急処置をしましょう。また、警察への連絡も必ず行ってください。保険金請求をするためには、交通事故証明書が必要となりますが、この発行を受けるためには警察への届け出が必要となります。
さらに、相手方の連絡先等の確認も忘れずに行いましょう。
この時点でご相談いただければ、通院や後遺障害の見通し、また示談交渉が始まるタイミングや賠償金の増額見込みなど、今後の全体的な見通しと流れについてアドバイスさせていただきます。
事故直後の注意点としては、できる限り早く通院を始めること。一定期間が空いてしまうと、ケガと事故の因果関係が認められなくなる可能性もありますので、必ず早めに通院を開始するようにしましょう。
医療機関への受診・治療
何らかの症状がある場合は、できるだけ交通事故当日に医療機関を受診してください。
交通事故から日数が経過してからの受診は、相手方により、交通事故と症状との因果関係を争われる可能性が増してしまいます。
また、医師には、自身の症状を適切に伝え、レントゲン撮影等、客観的な根拠となるような検査も、医師と相談しながら必要性に応じ行ってください。その日の検査は、その日にしかできません。
治療中は、基本的には治療に専念して頂き、少しでも早く回復することを目指すべきですが、弁護士への相談は、早めにしておいてください。当事務所では、交通事故被害者事案につきましては、初回無料相談としておりますので、ご遠慮なくご相談ください。
すべての医師が、交通事故によるけがの専門家ではないですし、後遺障害等級認定の基準など交通事故賠償の実務に精通しているわけではありません。当事務所では整形外科医という特性を活かし、医学的な面にも踏み込んだアドバイスをさせていただきます。後に、適切な賠償を受けるためにも、依頼者一人一人に合った検査や作成しておくべき書面などをご検討・ご案内いたします。
症状固定
治療の甲斐なく事故によるケガの症状が残存してしまった場合は「症状固定」となります。症状固定になると、治療費を打ち切られることが通例です。ただし、ケースによっては症状固定前に治療費を打ち切られることもあります。治療を続けるかどうかは医師の判断が第一であり、保険会社が決めるものではありません。こちらの判断で治療をやめると、のちの後遺障害等級認定が不利になることもあるので、治療の継続については必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。
もし治療費の打ち切りに正当性がない場合は、支払いの延長を求めることもできます。打ち切りのタイミングはご相談の多いタイミングの一つとなっていますので、少しでも疑問点があれば遠慮なく当事務所までご相談いただければと思います。
症状固定以降は、通院を続けても治療費を加害者が認めないのが原則で、症状固定後は、後遺障害の認定手続きに入ります。
後遺障害等級認定
後遺障害の等級認定において「後遺障害診断書」は認定結果を左右するほど重要な書類です。しかし、記載内容がどのように使われているかまで熟知している医師は多くありません。親切な主治医が、丁寧に診断書を書いてくれたとしても、後遺障害の認定には役に立たなかったり、時には、不利に働くこともあるのが事実です。
当事務所では法的側面と医学的側面の両方から診断書をチェックし、有効性の高い診断書の用意を徹底しています。必要に応じて医師とのコミュニケーションを図りながら、確度の高い診断書を用意します。
示談交渉
後遺障害の等級認定の結果を踏まえ、加害者と慰謝料等損害賠償額について交渉を行います。
示談交渉で解決できなかった場合は、訴訟等の裁判所での手続きや交通事故紛争処理センターでの斡旋手続き等を利用して、解決をはかります。
すべての損害額が決定すると、保険会社との示談交渉が始まります。通常、保険会社が提示してくる示談金額は保険会社独自の計算方式で算定されたものであり、これまでの判例と比べると少なくなっていることがほとんどです。もし保険会社から示談金の提示を受けているのであれば、各賠償項目をチェックし、どれだけ妥当性のあるものなのか診断できます。その上でどれぐらい増額できそうなのかもお伝えします。
裁判
交通事故の案件では示談で解決することも多いですが、依頼者様が、加害者側の保険会社の提示する賠償額にご納得頂けない場合は、裁判を行うことになります。そのような場合は、より良い結果が得られる可能性や依頼者様の時間的・精神的ご負担などを慎重に検討し、依頼者様と一緒に方針決定を行わせて頂きます。全体で見ると裁判にいくケースは多いとは言えませんが、賠償金額が多額の場合、または過失割合に大きな食い違いがある場合などは裁判にいくケースもあります。依頼者が適正な賠償金を獲得できるよう、徹底的に主張を貫きます。
2.過失割合について
交通事故においては、どちらか一方だけに非(過失)があるというわけではなく、当事者双方それぞれに非があるこということが多いです。このような当事者双方に非がある場合に、その責任の比率がどの程度かという割合のことを過失割合といいます。実務においては、多数の交通事故を迅速かつ画一的に処理するために、交通事故の形態毎に過失割合が類型化されており(東京地裁民事交通訴訟研究会編の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズ第38号))、広く一般に使用されております。
そして、この基準をベースに、それぞれの交通事故の特殊性を考慮して、最終的な過失割合が決まりますが、過失割合は賠償額に影響を与えますので、当事者双方で、言い分が食い違い、争いとなることも少なくありません。
3.自動車保険について
交通事故において、被害者は、体に傷害を負ったり、乗っていた車や所持品が傷ついたりと損害を被ります。これに対し、加害者が損害を賠償することになるのですが、交通事故による損額額は、数百万円を超えることも少なくなく、時には1億円を超えるようなこともあります。
このような損害賠償に備えるための仕組みが自動車保険です。
自動車保険には、交通事故被害者の損害を最低限補償する自賠責保険と、自賠責保険でカバーできない損害を補償する任意保険があります。自賠責保険は、強制加入ですが、任意保険への加入は自由ですから、時に、自賠責保険しか加入していない加害者との交通事故で、被害者が多大な損害を被ることが起こっています。
4.交通事故の解決方法
交通事故に基づく損害賠償請求等の解決方法としては、主に、当事者間での話し合いにより解決する示談と、裁判所による判決により賠償額等を決定する訴訟手続き(和解で終わることもあります。)、交通事故紛争処理センターという裁判所外の機関を利用する手続きとがあります。
それぞれ、以下の様なメリットデメリットがありますので、状況に応じ、適切な解決方法を選択することが重要です。
示談による解決
メリット | 比較的早期に解決できる。 弁護士に依頼せずとも解決できる。 |
---|---|
デメリット | 裁判と比較した場合、特に弁護士の介入がないと、賠償額が低額になりやすい。 弁護士費用や遅延損害金を損害額として認められにくい。 |
裁判による解決
メリット | 示談に比べると高額な賠償を獲得しやすい。 弁護士費用や遅延損害金が損害として認められる。 |
---|---|
デメリット | 解決に時間がかかる。 個人での対応が困難で、弁護士への依頼が必要となることが多く、弁護士費用が必要となる。 |
交通事故紛争処理センターによる解決
メリット | 裁判と同等の賠償額が認められやすい。 比較的早期に解決できる。 被害者は交通事故紛争処理センターの裁定に拘束されないが、保険会社は基本的には裁定に拘束される。 |
---|---|
デメリット | 弁護士費用や遅延損害金を損害額として認められにくい。 期待している裁定が出ない場合は、訴訟に移行する必要があり、解決までに、かえって、時間がかかってしまうことがある。 |