交通事故で手首の痛みが残る場合はTFCC損傷の可能性がある
「交通事故にあったあと、手首をひねると痛い」「事故後レントゲンでは何ともなかったが手首の痛みが取れない」このような場合、TFCC損傷の可能性があります。
少し気になる程度の症状でも、ずっと続くとしたらどうでしょうか?事故後の生活に支障が出続けてしまいますから、TFCC損傷の疑いのある場合は診断を受けることをおすすめします。
今回は、TFCC損傷の症状と、診断方法、後遺障害等級認定について解説します。
TFCC損傷とはどんな症状が出るのか
TFCCとは
TFCCとはTriangular Fibrocartilage Complexの略で、三角線維軟骨複合体損傷のことです。
聞きなれない名称ですが、手首の小指側にある三角形の部位のことです。TFCCは複数の靭帯や軟骨などで構成されていて、手首の外側の安定支持を保っています。
TFCC損傷の原因
TFCC損傷の原因には、手を強く地面についたときの怪我をきっかけにするものや、テニスなどのスポーツによるものがあります。
交通事故でよく見られる原因としては、バイクや自転車などで転倒した際に手を強くついてしまった場合などがあります。
TFCCが損傷すると
TFCCは手首のいわば、捻挫です。特徴的な症状として、「小指側の手首の痛み」「手首をひねると痛む」「ドアノブをまわすと痛む」「小指側の腫れ」などが挙げられます。
TFCC損傷は軽度の捻挫と違い、痛みが慢性的に続くことが多く日常のちょっとした動作で痛みを感じますので、生活に支障をきたしてしまいます。
TFCC損傷の検査ではMRIが重要になる
TFCC損傷はレントゲンでは見つからない
TFCCは軟骨成分なので、レントゲンによる画像診断では異常がないように見えることが多く、明らかな骨の異常がない限り診断はつきにくいです。
レントゲンと造影剤を組み合わせる方法も
補助的な診断方法として、レントゲンに造影剤を組み合わせることでTFCC損傷を見つけることが可能です。手首の関節に問題がなければ造影剤が漏れることはありませんが、亀裂がある場合には造影剤が漏れてきますので、損傷があるか、ないか、の判断ができます。ただし、損傷部分の特定はできません。
MRIなら損傷部分が判明する
MRIによる画像診断では、TFCCに亀裂があれば、損傷部分を画像で確認できます。ただしMRI検査も絶対的なものではありませんので、できれば手の外科の専門医に確認してもらいましょう。
交通事故による手首の捻挫と診断されていたとしても、慢性的な痛みが持続している場合などは一度MRI検査でTFCC損傷がないか、確認しておくとよいでしょう。
痛みを医師に正確に伝えないと見逃される可能性が高い
TFCC損傷は、交通事故後、ある程度の時間が経ってから判明することが一般的です。なぜならば、事故当初は痛みがあるのが当然であり、レントゲンで異常なし判断されれば、ただの捻挫として扱われるからです。
時間が経過しても手首の痛みが続く場合には、TFCC損傷の疑いがあります。的確な診断を受けるためにも、「痛みが慢性的にあること」、「どのような動作をしたら痛むのか」、「痛みの程度」などを医師に正確に、積極的に伝える必要があります。
TFCC損傷の治療方法
TFCC損傷の治療は、ギブスやサポーター、テーピングなどによる固定療法が一般的です。固定して安静を保ちながら経過観察をします。
固定療法で改善しない重度の損傷の場合には、手術を選択する場合もあります。TFCCの病状固定には数カ月から1年以上かかることもあり、治療が長引くことで日常生活への負担も大きくなります。
TFCC損傷の後遺障害等級
TFCC損傷で認められる可能性のある後遺障害等級は、第10級から第14級です。
現状では第14級9号の認定が最も多くなっていますが、第12級以上が認められるケースもあります。
後遺障害等級 | 身体障害 |
---|---|
第10級10号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第12級6号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
第12級13号 | 局部にがん固な神経症状を残すもの |
第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
TFCC損傷は、事故後時間が経ってから診断されることが多いことや、TFCC損傷についての認知度が低いこと、損傷の立証にMRIや専門医の診断が不可欠であることなどから、適切な後遺障害等級に認定されないケースが多々あります。
手首の痛みは日常生活や労働に支障をきたすものですから、きちんと診断を受け、治療にのぞみたいですね。
相応の後遺障害等級に認定され、損害賠償金を受け取る為には、TFCC損傷であることを証明する画像診断データなどの資料を確保しておくことも重要です。
交通事故によるTFCC損傷は弁護士に相談を
交通事故により傷害を負ってしまい、時間が経っても手首の痛みがある場合、いつ治るのかと、とても不安になることでしょう。
事故後時間が経っているからといって、あきらめる必要はありません。正確な診断を受け、相応の後遺障害等級に認定されば、損害賠償金を受け取ることができます。
交通事故後によるTFCC損傷の疑いのある方は、当事務所に一度ご相談ください。