高齢者や子どもの死亡事故における慰謝料及び逸失利益

交通事故によって、ご家族の中でもご高齢の方や、自身の子どもが死亡してしまった場合、慰謝料や逸失利益は、どのように算定されるのが一般的なのでしょう。そこで今回は、高齢者や子どもの死亡事故とその慰謝料及び逸失利益について詳しくご説明します。

慰謝料(死亡事故)と年齢の関係について

今回は、裁判所の基準を取り上げてみていきましょう。

裁判所基準によると死亡慰謝料は、「一家の支柱」、「母親・配偶者」、「その他」といった分類がされています。この基準をみる限り、年齢は関係ないのでは?と感じられます。

一般的に、まだ若い幼児と比較し、平均寿命近くの高齢者の方が死亡したとなれば、慰謝料に違いがあるのが当然と考える方が多いはずです。しかし、幼児であっても高齢者であっても、「その他」に分類されるのが実務上の取り扱いです。

もちろん、実際の裁判例まで取り上げてみれば、若年者の死亡事故のほうが多額の慰謝料を認めている事例もあるにはありますが、原則的には年齢というのは一つの事情として取り扱われております。

慰謝料に加えて逸失利益の請求が可能

上記のように、慰謝料というのは命に金額の大小をつけるものではありません。あくまでも遺族らの精神的苦痛に対して支払われるお金であると考えるべきです。一方で、死亡事故の場合は慰謝料に加えて逸失利益の請求が可能となっています。

逸失利益とは、本来であれば得られたにも関わらず、なんらかの不法行為や債務不履行(今回の場合は交通事故)によって得られなくなった利益のことです。金額算定には、死亡時の年齢から67歳までの年数を就労可能年数として扱い算出しますが、子どもの場合は18歳~67歳、ご高齢者(およそ54歳以上)の場合は、平均余命の2分の1が基準になります。

とはいえ、将来の収入を損害賠償請求する場合、一括での支払いにより高額な金銭を得ると、運用などによる利益などを得ることになり、支払い側に不公平が生じます。こちらに関しては、「ホフマン式」や「ライプニッツ式」といった方法にてその運用益分(中間利息)を控除されるのが一般的です。

他方で、被害者が年金を受給していた場合は、年金の種類に応じて受給していた年金分を逸失利益として加害者に請求できます。ただし、亡くなった方が受給していたのが遺族年金であった場合、遺族年金自体が本人の生活を保障するために支払われているものなので、その部分を加害者に請求することはできません。

このように、逸失利益は、性質ごとにケースバイケースの対応が求められます(参考ページ:交通死亡事故の逸失利益の計算方法)。

死亡事故の被害者のご遺族は交通事故を専門的に扱う弁護士に相談を

上記のように、死亡事故の場合は慰謝料だけでなく、逸失利益の問題も絡んできます。

特に、高齢者や子どもの場合、サラリーマンのように年収がはっきりとわかるわけではなく、柔軟な対応が必要となります。となれば、法的な知識だけでなく高度な交渉技術も求められます。

その点、当事務所は交通事故案件を積極的に取り扱い、豊富な経験から加害者側の保険会社との交渉にも精通しています。被害者のご家族が一日も早く日常に戻れるように、適正な金額が支払われるお手伝いをさせていただきます。ぜひ当事務所にご相談ください。