遷延性意識障害(植物状態)の後遺障害認定・慰謝料を弁護士に相談

今回は、遷延性(せんえんせい)意識障害について詳しくご説明します。遷延性意識障害とは、いわゆる「植物状態」と呼ばれる障害が残った状態で、数ある後遺障害等級の中でも、最も重い1級に認定されるケースがほとんどとなっています。

ご家族がこのような状態になってしまえば、深い悲しみを負うのは当然ですし、精神面・肉体面・経済面といった、様々な面から負担を抱えることになってしまいます。この遷延性意識障害の被害に遭われた方がいた場合、弁護士には何が出来るのでしょうか?

現実問題として、いくら弁護士が介入したとしても、冒頭で触れたような負担を一緒に背負うことなどはできません。しかし、法的な目線から金銭の賠償請求をするというサポートができます。適正な賠償金額が支払われるよう加害者側と交渉し、また場合によってはADRや裁判といった手続きを利用しながら、金銭面の負担を軽減できるよう尽力するのが弁護士の役目です。

保険会社によっては、本来、適正な金額でないにも関わらず交渉を進めようとしてくることもあります。また、損害の一部は認めないといったように、少しでも低い金額で示談しようと試みることもあります。弁護士がついていれば、こうした示談に応じることがないよう目を光らせることも可能です。特に、交通事故を専門に取り扱っている当事務所は、適切なアドバイスが可能です。

遷延性意識障害の損害賠償請求と問題点について

では、具体的に遷延性意識障害では、どういった点が損害賠償請求時に問題になるのでしょう?ここには、以下で説明するような争点や2つの大きな問題点があるのですが、まず、遷延性意識障害の定義についてご説明します。日本脳神経外科学会では、以下のように定義付けしています。

  1. 自力移動が不可能である。
  2. 自力摂食が不可能である。
  3. 糞・尿失禁がある。
  4. 声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
  5. 簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが,ほとんど意思疎通は不可能である。
  6. 眼球は動いていても認識することは出来ない。

こうした状態が3ヶ月以上続いている場合、遷延性意識障害と考えられます。

① 成年後見人の手続きをサポート

遷延性意識障害を抱えてしまうと、満足に会話することができなくなります。となれば、法律上、意思や判断能力が欠けているため、このままでは損害賠償請求しようにもすることができないのです。そこで本人の代わりに損害賠償請求をする「成年後見人」を選任させる必要があるのです。

この成年後見人は家庭裁判所にて選任手続きを行うため、法律知識の豊富な弁護士のサポートがあればなんなくクリアすることが可能です。なお、成年後見人が選任されていないと、遷延性意識障害となってしまった方は、日常生活でも様々な点で不便が生じます。一人ではなんら契約することすらできない状態なのです。もちろん当事務所では1日でも早い成年後見人の選任をサポートいたしております。(当事務所の成年後見人の手続きサポートは「交通事故の成年後見人の手続き代行」をご参照ください。)

② 遷延性意識障害の損害賠償請求

遷延性意識障害の場合、多くのケースで「介護を要する後遺障害1級」が認定されます。これによって認められる損害賠償金額は、自賠責基準は4000万円が上限となります。その他にも、逸失利益計算時の労働能力損失率も100%が認められます。

しかし、これはあくまで自賠責基準であって、実際のご本人の苦痛、ご家族のご負担は、このような賠償額で満たされるものではありません。弁護士にご依頼頂ければ、自賠責基準を大きく上回る裁判所基準に近い金額での解決をサポート致します。また、遷延性意識障害となれば、介護費用(自宅介護か施設介護かの問題も)・逸失利益・余命制限、賠償額が多額に及ぶため定期金賠償、といった問題も出てきます。

こうした問題を個人で解決していくのは、困難と言わざるを得ません。成年後見申立から、損害賠償請求における数ある問題点のサポートは、ぜひ当事務所にお任せください。

遷延性意識障害における逸失利益の計算方法と保険会社との争点

逸失利益とは、交通事故による怪我などによって将来にわたって得られなくなった収入のことです。交通事故で遷延性意識障害となってしまった被害者の多くの場合は、労働能力が100%失われることが少なくありませんので、交通事故前の年収に応じ、労働能力喪失期間(原則67歳まで)にわたる収入が賠償されることになります(利息の控除はあります)。

この点、交通事故の被害者が死亡した場合には、被害者の将来にわたる生活費が必要となくなることを考慮し、年収から一定割合の生活費を控除して賠償されることが通常です。この生活費控除は、あくまで被害者が死亡した際の考え方なのですが、相手方保険会社によっては、遷延性意識障害の被害者についても、この考え方を取り入れるべきと主張してくることがあります。

また、労働能力喪失期間との関係で、余命を短く計算し、賠償額を減らす方向で主張してくることもあります。こういった考え方については、裁判所の一般的な考え方ではありませんので、相手方に対し裁判例を踏まえた主張を行い、適切な賠償を受けることが重要です。

大阪A&M法律事務所では、交通事故による遷延性意識障害を患った被害者の方の損害賠償請求につきまして、適切な賠償金の獲得に向け全力でサポート致します。

③ 在宅介護のための費用請求をはじめ被害者家族のサポート

ご家族が遷延性意識障害となった際、介護をどのように行うのかという現実に直面します。交通事故に遭われたご本人のご意思も考えつつ、介護に必要となるマンパワーも考える必要があります。ご本人のことを思うと自宅で介護をしてあげたいが、マンパワーを考えると施設に入って頂き介護を受けてもらわざるを得ないなど、途方にくれてしまうかもしれません。施設に入った場合の費用はどうなるのか、自宅で介護をするとしても家族でない専門の介護者を依頼することができるのか。

この点、施設での介護を中心に考える場合は、施設利用料が賠償されることになりますが、介護保険制度を利用した上での自己負担部分が賠償されるのが原則です。他方、自宅での介護を中心に考える場合は、ご家族などの近親者が介護を行う場合には日額8000円を、家族でない専門の介護者を依頼する場合は必要かつ相当な実費の賠償を受けることができます。また、自宅での介護を中心に考える場合には、家屋改造費や自動車改造費なども必要かつ相当な範囲内で認められます。

以上のように、自宅での介護にせよ、施設での介護にせよ、必要かつ相当な範囲内での賠償を受けることができますので、ご本人の意思やご家族の事情を踏まえ、より良い選択をして頂ければと思います。他方、一旦、示談をし賠償金を受け取ってしまうと、介護の方法が変わったとしても、相手方に差額を請求することは困難となります。したがいまして、将来的な介護方法の変更の可能性も想定し、適切な請求を行うことが重要です。

大阪A&M法律事務所では、ご本人やご家族の事情を伺った上で、適切な賠償額の算定をした上で相手方に請求を行いますので、まずは、御遠慮なくご相談ください。

家族が積極的にコミュニケーションをとることで症状が改善する例もある

交通事故でご本人が遷延性意識障害となったご家族は、将来のことに途方に暮れながらも、ご本人の回復を強く願うことかと思います。実際、ご家族が、できるだけ話しかけるなどサポートをしたり、献身的なリハビリテーションを行うことなどで、回復傾向を示される方もいらっしゃいます。また、たとえ回復が困難であっても、少しでもご本人といる時間を長くとり、サポートをしたいとの希望もあるかと思います。

ご家族が、遷延性意識障害を患ったご本人の傍でできる限りサポートをするためには、ご本人に施設に入ってもらい介護を行うのではなく、自宅での介護を行うことがより良いことは明らかです。もっとも、自宅での介護は、ご家族の負担が少なくありませんので、現実問題として、非常に悩ましいところです。この点、自宅での介護といっても、ご家族が全てを行う必要はなく、家族でない専門の介護者に手伝ってもらうことも可能ですし、自宅での介護負担を軽減するために、自宅の改造や装具・器具を利用することも可能です。そして、これらに必要な費用についても、妥当な範囲内で、相手方に賠償金として請求することも可能です。

大阪A&M法律事務所では、遷延性意識障害を患う交通事故被害者のご家族が、ご本人のために精一杯サポートできるよう、適切な賠償金の獲得に向け全力でサポート致します。