交通事故の慰謝料を弁護士に相談 裁判所基準等3つの基準

交通事故に遭ってしまい、加害者に対して慰謝料請求をする場合、その金額算定には以下で説明する3つの基準を用いるのが一般的です。慰謝料請求には、入通院に対する慰謝料及び症状固定後の後遺障害に対する慰謝料があります。

これらの請求基準をあらかじめ定めているのが、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「裁判所基準」です。今回はこの3つの基準について、それぞれご説明していきます。

自賠責基準

まず自賠責保険というのは、「自動車損害賠償保障法」という法律にて自動車やバイクに乗る方に加入が義務付けられている保険を指し、正式には「自動車損害賠償責任保険」と言います。これは交通事故に遭ってしまった被害者を救済するため制度化された保険で、加害者の資産状況や保険の契約状況がどうあれ、被害者側が必ず受けることができる最低限の補償になります。

自賠責は、人身事故による損害を対象にしているため、車両が破損したなどの物損は対象外になる点に注意しましょう。また、他の基準と比べると支払条件などが緩く、被害者側に70%以上の過失(不注意などのこと)がない限りは減額されることがありません。ただし、支払われる保険金の上限は、決して多くはないため、あくまでも最低限であると認識しておいてください。

任意保険基準

任意保険とは、必ず加入しなければならない自賠責保険とは違い、自動車を運転する方が自らの意思で(任意で)加入する保険のことです。自賠責保険だけでは補償しきれない部分を補償してくれ、自賠責保険を超える金額での対人賠償だけでなく、対物賠償や搭乗者への補償、車両保険など、オプションによって様々な保険をかけることが可能となっています。

そして慰謝料請求における基準としては、「法律上の損害賠償金を支払う」との規定が約款に記載されており、約款によると以下で説明する裁判所基準と同様のものになります。しかし、実際には、自賠責保険による基準を参考に、保険会社側の独自の基準にて支払いされることが多いです。ケースバイケースで判断するということで、なにかと理由をつけ低い金額を提示されることもあるので、この金額が本当に妥当かどうかを判断したい場合は、専門家への相談が必須です。

裁判所基準

裁判所基準とは、過去の裁判所の判例を参考にし、定められたものです。この基準は、東京三弁護士会から構成される交通事故処理委員会が公表している「赤本(カバーが赤いため)」や日弁連交通事故相談センター東京支部が作成した、「青本(こちらはカバーが青い)」に掲載されたものがあります。

裁判所基準は、実際の裁判などで多くの裁判所が判断の基準としています。3つの基準の中では、もっとも高い金額が示されていますが、相手方の保険会社に請求する際には、それなりの根拠が必要ですし、保険会社としては、裁判所基準は裁判をしたときのもので、交渉段階で採用する必要はないというスタンスであることが多いため、ただ単に「裁判所基準でお願いします」と伝えても、認められることはまずありません。

しかしながら、弁護士が介入した場合には、保険会社も裁判に発展する可能性を考え、示談段階でも裁判所基準に準じた解決に応じることが少なくありません。したがいまして、裁判所基準で請求したい場合は、実際に弁護士に依頼するのが効果的です(当事務所にご相談いただくメリットは「大阪A&M法律事務所にご依頼いただくメリット」のページをご参照ください)。