交通事故治療費の診療単価
交通事故で怪我をされた場合、医療機関に入通院することになりますが、この際、原則として、日常の病気や怪我の際に使用する健康保険は使用できず、一旦は、交通事故被害者が、医療機関との間で診療契約を結び、治療費を支払う義務が発生します。最終的には、交通事故被害者の治療費は、交通事故加害者に請求することになります。もっとも、一括払制度のもと、交通事故加害者の任意保険会社が、医療機関に対し直接支払をしてくれるのが通常です。
そして、先に述べたように、交通事故被害者と医療機関との診療契約は、健康保険を利用しませんので、診療単価をいくらに設定するかは、当事者間の自由な契約に基づき決めることができるのが原則です。そして、医療機関によっては、交通事故被害者の診療担架を、通常の健康保険を使用した際の診療単価の2倍程度とするものもあります。過去の裁判例でも、2.5倍を認容したもの(神戸地方裁判所判決平成7年2月28日)、1.5倍と認定したもの(福岡高等裁判所判決平成8年10月23日)、2倍とするのが信義則上相当であるとしたもの(横浜地方裁判所判決平成14年10月28日)などがあります。
ここで、交通事故被害者の方に問題となるのが、医療機関が、交通事故加害者の任意保険会社が認めないような診療単価で請求してきた場合、最終的には、診療契約を直接結んでいる交通事故被害者に対し請求をしてくることになるということです。ですので、入通院している医療機関が、交通事故の診療単価をどのように設定しているのか、交通事故加害者の任意保険会社がこれを認めているのかについては、意識しておいて頂いた方が、後のトラブルの防止になります。
詳細は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。