他覚的所見

他覚的所見とは、医師が行う触診、視診などの診察で得られた結果や画像検査(レントゲンやMRIなど)や医学的検査(血液検査、神経伝導検査など)の結果のことをさします。

 体調が悪いときに病院を受診すると、医師は自覚症状を聴取した上で、他覚的所見も踏まえ、想定される傷病名をつけます。

たとえば、患者が医師に鎖骨が痛い(自覚症状)と訴えた場合、医師は本人の自覚症状を鑑み、患者の痛みのある鎖骨周辺を診察し(触診や視診など)、骨折等骨の異常が疑われれば、レントゲンを撮影し、レントゲン上で骨が折れていることが確認できれば、医師がその患者さんの鎖骨は骨折していると診断する、といったフローになります。

このように画像などの他覚所見をもって診断できることもありますが、必ずしも明確な他覚的所見があるというわけではなく、自覚症状から診断せざるを得ないことも少なくありません。

ところで、交通事故の傷病で、自賠責保険の後遺障害等級認定を行う際には、画像所見が他覚的所見として非常に重視される傾向にあります。たとえば、触診などの診察による異常所見が存在するだけでは、その病気は医学的に証明されていない(他覚的な異常所見がない)とみなされる場合もあります。

 なお、等級認定については裁判所で争うこともでき、裁判所は自賠責保険における後遺障害等級認定に拘束されるものではありません(民事訴訟法247条)ので、左記の場合でも他覚的所見があるものとして扱い、等級認定がされたケースもあります。

 このように自賠責保険の後遺障害等級認定では、他覚所見について厳しい認定がなされることがありますので、異議申立等では、診断の根拠等について専門的な知識を踏まえた丁寧な説明が必要となることがあります。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。