交通事故の消滅時効について(自賠法上の被害者請求権編)

交通事故の被害者は相手方の加入する自賠責保険に対して、損害賠償額の支払請求をすることができます(自動車損害賠償保障法16条)。これを「被害者請求」「16条請求」などと呼びます。

被害者請求をできる権利(以下では「被害者請求権」といいます。)は、平成22年4月1日以降に発生した交通事故については、3年を経過したときは時効により消滅します(自動車損害賠償保障法19条)。

民事上の損害賠償請求権と同様に、3年の起算点は、傷害部分については交通事故日の翌日から、後遺障害部分については症状固定日の翌日から、死亡した場合は死亡日の翌日からと考えることが一般的な見解です。

自賠責保険への後遺障害部分への請求は、相手方任意保険会社の事前認定を受けなかった場合においては、被害者の後遺障害等級認定を受ける手続きを兼ねています。一般的な感覚からすると、後遺障害等級認定があって初めて自らの損害額が分かるようにも思いますが、あくまでも症状固定日から時効が進行します。

そのため、後遺障害等級の非該当に対して異議申し立てを繰り返しているうちに、時効が到来してしまったということが無いように気を付ける必要があります。

後遺障害等級認定の異議申立ては何度でもできますが、時効との関係(民事上の損害賠償請求権との関係でも問題となります。)もありますので、初回申請前あるいは初回申請で非該当になった直後など、早い段階で専門家にご相談下さい。