損害論③・交通費
交通事故の被害に遭い、交通事故に基づく損害を加害者ないし保険会社に請求する場合、具体的な損害額がいくらであるかということが争いになります。今回は、その中でも交通費について解説致します。
1 交通費の基準
被害者の方の交通事故を原因とした入院・退院、通院の交通費は、実費が損害として認められます。
タクシー代など公共交通機関の料金水準を相当程度超える費用を要する交通手段については、傷害の程度、交通機関の便等を考慮して相当性が認められなければ、公共交通機関の運賃が限度となります。また、自家用車で通院する場合には、ガソリン代、高速道路代、駐車場料金などの実費が損害として認められます。
2 家族の交通費
家族の交通費については、付添看護費あるいは入院雑費に含まれるとして別途損害として認められないとした裁判例もあります。もっとも、被害者の入通院先が遠隔地の場合には、見舞、看護が必要で相当なときに、付添看護費あるいは入院雑費とは別途、家族の交通費が損害として認められます。
3 判例
横浜地裁平成8年2月15日判決では、被害者である息子が植物状態に近い後遺障害となった事案につき、横浜在住の母親の交通費について、「横浜在住の原告が被害者の入院先である京都までの往復のための新幹線代金、タクシー代金・・・などの通院代金としての右請求代金については、その必要性が認められ、相当である。」と判示され、付添看護費とは別途、交通費329万7720円が認められました。
4 最後に
交通事故における損害額の計算は、一般の方には判断が難しいものと思います。当事務所にご依頼いただければ、妥当な損害額を判断し、加害者及び保険会社に対し適正な額を主張致します。
大阪A&M法律事務所では交通事故の被害者の方の相談をお待ちしております。