後遺障害特有の問題・RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)
交通事故の被害に遭ったとき、残念ながら被害者の方に障害が残ってしまう場合があります。このような場合には、被害者の方は、後遺障害等級に応じた補償を受けることになります。今回は、この後遺障害の中でもRSD(昨今はCRPS typeⅠといわれています。)について、説明致します。
1 RSDとは
RSDとは、外傷により交感神経の異常な反射亢進が起こり、それを原因として疼痛、腫脹、関節拘縮などが生じる病態のことをいいます。
2 RSDと後遺障害等級認定
RSDによる後遺障害としては、1級、2級、3級、5級、7級、9級が認定される可能性があります。一方で、後遺障害等級に該当しないと判断されることもあります。後遺障害認定の基準として一般的に利用されている「労災補償 障害認定必携」によれば、RSDによる後遺障害が認定されるためには、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状が健側と比較して明らかに認められること、が必要です。この点、CRPS(RSD)の診断基準には厚生労働省の研究班が作成した判定指標もありますが、こちらは、治療を目的としたもので、後遺障害等級認定においては、先の労災の基準が重視されておりますので注意が必要です。
そして、後遺障害認定の根拠資料となる後遺障害診断書には、「RSD」という病名の記載の他に、①~③の各症状が具体的に記載されていることが重要です。また、①については可動域検査、②についてはレントゲン撮影、③についてはサーモグラフィー検査など他覚的所見が記載されていることも重要です。
3 最後に
上記のように、RSDが後遺障害として認定されるためには、後遺障害診断書の記載が重要です。被害者の方が、RSDの治療中に、当事務所にご相談いただいた場合には、後遺障害診断書に自覚症状、他覚的所見としてどのような記載をしてもらうのがよいかをアドバイスいたします。