交通事故の示談について(1)~もし、通院中に示談書の締結を促されたら・・・~

 加害者が交通事故によって負う責任は、こちらのとおりですが、当事者間で交わされる示談書は、あくまで民事上の責任に関するものです。

 もっとも、示談が成立しているという事実は、刑事事件の罪を軽くさせるひとつの検討要素になり、加害者の刑事責任の判断に影響を与えることが少なくありません。このような事情から、加害者や加害者側の保険会社は、より早期の段階で示談を締結したいと考えていることが多く、被害者に、早期の示談を求めてくることが少なくないです。

また、当然ながら、治療期間が長くなると、治療費や入通院慰謝料等が増加しますので、加害者側の保険会社としては、早期の示談等による解決を求める傾向にあります。

 しかし、被害者の方は、余程のことがなければ、後遺障害等級認定の結果に納得した後など、交通事故による損害がすべて確定した上で、加害者側保険会社などと協議し、示談を締結するのが望ましいでしょう。 なぜなら、示談してしまうと、その後に発生ないし判明した損害については原則として請求することができなくなるからです。 例外として、錯誤(当事者の認識と実損害額が著しく乖離しており、示談時に判明していれば示談しなかったと推認される様なとき)など民法の規定に沿って示談が無効となる場合もありますが、実際問題、このことを立証するのは容易ではありません。

示談する際は、示談書に適切な内容が過不足なく記載されていることや、それぞれのケースに応じた文言を明記した方が良い場合もございますので、あまりに早期な段階で示談交渉を加害者側がしてきたときは、より注意して検討することや、弁護士に相談することをお勧めします。

詳細は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。