交通事故における損害・休業損害

1 休業損害とは

休業損害とは、交通事故による受傷の治療経過中、受傷及びその治療のため被害者が休業し、あるいは十分な稼働ができなかったために、症状固定時までに生じた得べかりし利益をいいます。休業損害の損害額は、【収入日額】×【休業日数】で計算します。以下、収入日額と休業日数に分けて、詳述します。

2 収入日額について

(1)給与所得者

給与所得者の場合、収入日額は、事故直前3か月の平均収入を用いて計算します。例えば、ある年の6月に交通事故に遭った給与所得者がおり、その被害者の事故直前の3か月分の給料の合計が92万円であったとすると、収入日額は、92万円÷92日(3月~5月の合計日数)=1万円となります。給与所得者の事故直前の収入は、休業損害証明書や給与明細を用いて算出します。

(2)事業所得者

事業所得者の場合、収入日額は、事故直前の申告所得額を用いて計算します。例えば、交通事故に遭った事業所得者の事故前年度の申告所得額が365万円であったとすると、365万円÷365日=1万円となります。事業所得者の申告所得額は、確定申告書を用いて立証します。また、休業中に固定経費を支払った場合には、損害賠償の対象となることもあります。

(3)家事従事者

家事従事者の場合、収入日額は、賃金センサスという職種別・年齢別の賃金の統計表を用いて計算しますが、その統計表の中でも、【学歴計・女性全年齢平均賃金】の表を用います。例えば、平成26年に40歳の主婦の方が交通事故の被害に遭ったとすると、平成26年度の賃金センサスの【学歴計・女性全年齢平均賃金】の表により、女性の平均年収は、364万1200円ですので、収入日額は、364万1200円÷365日≒9976円となります。

3 休業日数について

賠償の対象となる休業日数は、原則として現実に休業した日数です。もっとも、症状の内容・程度、治療経過等からして就労可能であったと認められる場合は、現実に休業していても一定割合に制限されることもあります。
例えば、ある年の12月31日に交通事故に遭った被害者がおり、その被害者の収入日額が1万円、治療期間が1年で、治療経過から認定できる労働能力の制限される程度がそれぞれ事故直後3か月は100%、その後3か月は50%、その後の6か月は20%であったとします。その場合には、1万円×90日(1月~3月の合計日数)+1万円×91日(4月~6月の合計日数)×0.5+1万円×184日(7月~12月の合計日数)×0.2=172万3000円が休業損害となります。

4 最後に

具体例にあるとおり、休業損害の計算は、一般の方には、判断することが難しいかもしれません。当事務所にご依頼いただければ、妥当な損害額を判断し、相手方任意保険会社に適正な示談額を提示致します。

大阪A&M法律事務所では交通事故の被害者の方の相談をお待ちしております。