交通事故による頸椎捻挫で接骨院での施術を実通院日数の2分の1に限り認定した裁判例(東京地方裁判所平成26年7月11日)

交通事故被害者と接骨院(整骨院・柔道整復師)等での治療

 

交通事故により、頸椎捻挫等の損傷を負った交通事故被害者の方が、主に、病院や診療所ではなく、接骨院(整骨院・柔道整復師)等で施術を受けるというケースは少なくありません。この際、病院や診療所の整形外科も合わせて通院し、主治医から、接骨院(整骨院・柔道整復師)等での施術を受けるよう指示をされていれば、交通事故加害者側の保険会社や裁判において、接骨院(整骨院・柔道整復師)等での施術費用について、交通事故との因果関係が認められる傾向にあります。他方、病院や診療所にはほとんど通院せず、主治医の指示もなく接骨院(整骨院・柔道整復師)等での施術を受けていたような場合には、交通事故との因果関係が争いになることも少なくありません。

 

交通事故による頸椎捻挫で接骨院での施術を実通院日数の2分の1に限り認定(東京地方裁判所平成26年7月11日)

 

本裁判例(東京地方裁判所平成26年7月11日)は、乗用車を運転停止中に、後方から追突された交通事故被害者が、頸椎捻挫(むちうち損傷)等を受傷し整骨院等での治療費等を求め訴訟提起したものです。本判決は、「原告は主に接骨院等での施術を主に受けており、その結果徐々に症状が改善していったと認められるから、原告に対する施術の必要性自体を否定することはできない。もとも、原告は、医師から接骨院等での施術を指示されておらず、むしろ複数回にわたって整形外科の受診を勧められながら、・・・513日間という長期間において、合計256日、平均して約2日に1日を超える割合で接骨院等での施術を受けていたものであり、原告の傷害の内容及び程度に照らすと、これらの施術の全てが、傷害の治療という目的に照らして必要な施術であったと認めることはできず、本件事故と相当因果関係のある施術費としては、各接骨院等での施術費の2分の1・・・に限って、本件事故と相当因果関係のある損害と認める」とした。

 

まとめ

 

交通事故による頸椎捻挫(むちうち損傷)等を受傷した場合に、接骨院(整骨院・柔道整復師)等で施術を受けるという方は、本裁判例からもわかるように、別途、病院や診療所の整形外科医を受診し、接骨院(整骨院・柔道整復師)等で施術を受けることについて、指示を受けておくことが望ましいです。もっとも、整形外科医においても、特に、診療所においては、接骨院(整骨院・柔道整復師)等での施術と同等かそれ以上のリハビリを受けられることも多いですから、まずは、整形外科の主治医と治療方針について、きちっと相談して頂く事が重要です。