交通事故被害者の死亡逸失利益算定での現実収入と賃金センサス(神戸地方裁判所判決平成26年5月30日)
交通事故における逸失利益算定の基礎収入の原則
交通事故により被害者の方が死亡した場合や、後遺障害等級認定がなされた場合は、将来の労働能力がなくなったないし低下したことに対して、損害賠償として逸失利益が認められます。そして、逸失利益算定の基礎となる収入は、交通事故前の収入を基礎とするのが原則です。この際、交通事故前の収入が、平均賃金センサスの賃金より少なくとも、将来、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば、平均賃金センサスの賃金が基礎収入として認定されます。また、若年労働者の場合には、全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則とされています(赤い本2014年版)。
死亡逸失利益算定での現実収入と賃金センサス(神戸地方裁判所判決平成26年5月30日)
本判例(神戸地方裁判所判決平成26年5月30日)は、23歳女子短大卒会社員が、交通事故により死亡したという事案ですが、交通事故被害者は未だ若年で、入社して約1年であることから、今後収入が増加する蓋然性は認められるものの現時点の年収が賃金センサス平均を相当程度下回っていることからすると、今後、賃金センサスの高専・短大卒全年齢平均値を得る蓋然性までは認めることができないとし、逸失利益の算定の基礎収入を賃金センサスの高専・短大卒全年齢平均値の70%として、死亡逸失利益を算定しました。
まとめ
交通事故被害者の逸失利益算定には、上記の裁判例などの裁判例や交通事故賠償実務の知識がないと、十分な損害賠償を得ることは難しいです。交通事故により被害者が死亡した場合や後遺症が残り後遺障害等級認定がなされた場合は、交通事故事案に詳しい弁護士にご相談下さい。当法律事務所では、医師資格を有し交通事故案件の経験豊富な代表弁護士と、大阪弁護士会交通事故委員会所属の交通事故案件の経験豊富な女性弁護士で対応をします。