交通事故により顔面醜状(7級12号)を残す19歳女子短大生に20%の労働能力喪失を認めた裁判例(大阪地方裁判所平成26年3月27日)

交通事故と外貌醜状

 

先日のコラム(高次脳機能障害及び外貌醜状で併合3級の認定に対し労働能力喪失率を90%とした裁判例(名古屋地方裁判所平成26年6月27日))でも書きましたが、交通事故で顔などに傷が残った場合に、外貌醜状として、後遺障害等級認定がなされますが、外貌醜状があるからといって、必ずしも労働が制限されるわけではないので、後遺障害慰謝料は認定された等級に基づいた金額が支払われるとしても、逸失利益については争いとなることが多いです。本裁判例(大阪地方裁判所平成26年3月27日)では、交通事故被害者が19歳の女子短大生ということで、将来どのような職業につくか完全には決まっておらず、職業の選択肢が、顔面醜状により制限される可能性があることを考慮し、20%の労働能力喪失を認定し、後遺障害逸失利益を認めました。

 

交通事故により顔面醜状(7級12号)を残す19歳女子短大生に20%の労働能力喪失を認めた裁判例(大阪地方裁判所平成26年3月27日)

 

原付自転車に乗っていた19歳女子短大生が、交通事故により顔面に骨に達するほどの筋肉の断裂を伴う下顎裂創等を受傷し、後遺障害等級認定で7級12号と認定されました。この交通事故被害者の労働能力喪失率について、「本件交通事故当時は、短期大学1年生であったところ、・・・症状固定時には、23歳で無職であったこと、将来的にはウエディングプランナーなどの接客業に就職することを希望していたことが認められる。ところで、外貌醜状については、被害者の年齢、性別等を考慮した上で、労働の力に影響を及ぼす婆には、逸失利益が認められるというべきであるが、本件では、選択する職業が制限されうる可能性があり、対人関係、社会生活への影響も考えられること」などを考慮し、労働能力喪失率を20%とし、労働能力喪失期間も67歳までの44年間としました。

 

まとめ

 

交通事故で外貌醜状を負った場合、後遺障害等級認定がなされても、労働能力喪失率が争いとなることは少なくありません。交通事故に関する裁判例や医学的な知識が、相手方との交渉や裁判において重要となりますので、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。