25歳女子トリマー業の交通事故被害者について後遺障害逸失利益をセンサスの7割を基礎収入とした裁判例(東京地方裁判所平成26年12月26日)
交通事故と後遺障害逸失利益
交通事故により怪我などをしたことで、仕事に影響がでることは少なくありません。この仕事への影響について、症状固定までは休業損害として、症状固定後の将来分については逸失利益として、相手方に損害賠償請求をすることになります。もっとも、逸失利益については、将来のことであり予測が困難なことも有り、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率が決められており、交通事故前の年収を基準に算定されるのが通常です。もっとも、本裁判例のように自営業者などでは、申告所得が著しく低い場合や赤字の場合に、そのまま計算をすると適切な賠償を受けることができないことも少なくありません。本裁判例では、交通事故被害者の年齢や開業後の期間などを考慮して、賃金センサスの7割を基礎収入としました。
25歳女子トリマー業の交通事故被害者について後遺障害逸失利益をセンサスの7割を基礎収入とした裁判例(東京地方裁判所平成26年12月26日)
本裁判例(東京地方裁判所平成26年12月26日)では、交通事故で頚椎捻挫などを受傷し後遺障害等級14級が認定された交通事故被害者(トリマーとして開業)の逸失利益の算定の基礎となる基礎収入について、トリマーとしての事業は、「本件交通事故の前後を通して赤字状態が継続しているが、逸失利益を全面的に否定することは、無職者が求職活動中であった場合に逸失利益が認められることとの均衡を失すること、原告は、本件交通事故によって労働能力の一部を喪失しなければ、事業の赤字幅を縮小し得た可能性も否定できず、赤字幅を減縮できなかったことも「損害」と評価しうること、原告は、本件交通事故時20代後半であり、職業選択の幅が相当にある年齢層であったことからすれば、・・・原告の基礎収入を賃金センサス」の7割に相当する額と認めるのが相当であるとしました。
まとめ
自営業者が交通事故に遭い、仕事に影響が出たとしても、サラリーマンの様には、簡単に逸失利益が認められないことが多いです。交通事故に遭われた早期から、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。